未来の主役は「私たち」で育てる。渋谷はるのおがわプレーパーク副代表 小水映さんインタビュー

都会の喧騒からすぐの場所に、子どもたちが創意工夫を凝らしながら遊べるプレーパークがあります。2004年に生まれた『渋谷はるのおがわプレーパーク』の副代表・広報担当 小水さんにお話を伺ってきました。

突然ですが「プレーパーク」という言葉に馴染みはありますか?
遊具が整然と設置されている公園とは違い、一見無秩序ながらも、子どもたちやそこに集う人々が自主性や協調性を発揮し、創意工夫を凝らして遊ぶことができる場所です。
日本でも1979年に世田谷区羽根木にプレーパークが常設されてから、この概念が次第に広まっていくようになりました。
今回jiikは「都心」のイメージが強い渋谷区に常設され、2004年から多くの子どもたちの成長を見守ってきた『渋谷はるのおがわプレーパーク』のレポートと、副代表の小水映(こみずうつる)さんに、インタビュー取材を行いました。

遊び心を育む、都会のプレーパーク

代々木公園から徒歩1分。
都心に広がる緑のエリアの一画に『渋谷はるのおがわプレーパーク』はあります。
関わる全ての人たちで作り上げた感じが伝わる、どこか懐かしい風景です。

のこぎりやとんかちといった道具も「じゆうにつかっていい」ものとして常備されています。
ともすれば危険だと遠ざけられがちなアイテムも、ここでは立派な遊び道具。自主的に使う子どもたちと、それをサポートする大人たちの素敵な風景が、プレーパークのいたるところで見られました。

木でできた遊具に、梯子を打ち付けているプレーリーダーこまちさん。
その梯子を上り下りして遊ぶ子ども。
普通の公園なら、こんなことはできないですよね。

落ち葉の中に入って、はいチーズ♪
足の裏がどろんこになったって、子どもたちはへっちゃら。冷んやりした土をかみしめるように、裸足で駆け回ります。

ここは「自分の責任で自由に遊ぶ」公園です。
子どもたちが「やってみたい!」を最大限カタチにするチャンスのある遊び場です。
子どもたちが自由に遊ぶためには「事故は自分の責任」という考えが基本です。
地域のおとなたちと渋谷区が協力してこのプレーパークをつくっています。
こわれているところをみつけたり困ったことがあったら、スタッフやプレーリーダーといっしょに考えたりつくったりしましょう!渋谷はるのおがわプレーパーク

〜パーク内看板より引用〜

子どもたちと一緒に遊んでみて感じたことは、パーク内の人々が、気を張らない時間を過ごしているという点です。
社会通念が作り上げた「公園での遊び方」というルールを、一旦子どもたちに預けることで、こんなにも心が自由になるのかと、目から鱗が落ちる思い。これが本来のあるべき外遊びの姿なのかもしれません。

強い信念のもと、このプレーパーク常設を実現させた、副代表の小水映(こみずうつる)さんに、貴重なお話を伺ってきました

副代表・小水映さんインタビュー

ーこのプレーパークが作られたいきさつを教えてください

小水:私自身が渋谷区で子育てをしたこともあるんですが、渋谷のイメージが子育てとはかけ離れてるという世間のイメージがあり、どうしてもそれを払拭したかったんです。
渋谷の喧騒から少し足をのばせば、緑豊かな公園も多いし、無料で利用できる公共施設も多い。けっして子育てに向いてない場所じゃないんです。なので、子どもたちがもっと外遊びができるように、渋谷区にプレーパークを作りたいという思いはずっと抱いていました。
かねてから渋谷ファンインというプロジェクトの中の『せせらぎファンイン』という団体として、渋谷区の施設や公園をお借りして、遊び場イベントを開催していく過程で、2004年に渋谷区長のご協力を得られることになり、念願のプレーパーク常設が実現しました。

写真:12年を表すオブジェも手作りで温かい。

ー常設されてから12年ということですが、長い期間この施設を維持運営するのは簡単なことではないと思います

小水:そうですね。あっという間の12年でした。
最初は仲間たちも嫌がっていたんです。中途半端な気持ちではできないことですしね。でもなんだかんだ誘って多くの方に協力していただきました。みんな私に騙されたって言っていますよ(笑)
私に関して言えば、プレーパークの活動だけしてなんで家のことを顧みないんだって、夫にも子どもたちにも冗談半分にからかわれました。でもそれぐらいの熱意をもって臨んだからこそ、常設実現にこぎつけることができましたし、12年間運営してこれたのだと思います。

写真:学校よりも、土や緑に囲まれたこの場の方がよっぽど清潔だと言い張る少年。この少年も幼い頃から、このプレーパークに通い、心を育んできた一人。カメラを向けると照れたように変顔でリアクション。

写真:子どもたちだけではなく、大人にとってもプレーパークは憩いの場のようです。

ー子どもたちも大人も自由に過ごしていますね

小水:基本的には子どもたちが最低限のルールを守れば、自分たちの責任で自由に遊べばいいと思っています。
大人はそれを目で追ってあげればいい。
そういった意味でも、このパークのサイズはちょうどいいんですよね。子どもたちを見失わない。

また、子どもたちが気持ちのままに遊ぶということが大事だと考えています。
例えば、大人の判断で「これぐらい平気だよ」といって、怖がる子どもたちを無理やり遊具に乗せたりすると、かえって事故になりやすい。子どもが自発的に体の動かし方を考えながらチャレンジした場合は、比較的安全なんです。パーク内のハザードは大人たちが除去したうえで、子どもたちにはチャレンジの場をたくさん与えたいですね。
子どもたちが経験して覚えることって、本当に多いですから。

ひとつの道具をとってみても、子どもたちによっては、遊び方が全く違います。
自分とは違う遊び方を見ながら、子どもたちは多様性を学びます。
多様性を認めるという点において、日本人は少し苦手意識があるのかなとも感じますが、もっと多くの人を認めながら視野を広げていくというのは大事なことですよね。

写真:プレーリーダーのりょーまくんも、小さい頃にこのプレーパークで遊んで育った少年でした。

ー将来のビジョンを聞かせてもらいますか?

小水:こういったプレーパークが、他の場所にも当たり前にできるようになればいいですよね。
このプレーパークを維持管理することが目的ではなく、子どもたちの外遊びが成長には不可欠だということがもっと認知されて、全国でプレーパークがたくさん生まれるような活動をしていけたらと思っています。
いまの区長さん(はるのおわがプレーパーク設立にも協力)が、渋谷区にもう一つプレーパークを作りたいと仰っていただいているので、私たちもそれを形にしなくてはなと思っています。

遊びって時代と共に進化するのものだと思います。
公園のベンチに座ってゲームをするのも、それも時代を反映した遊びです。
ただ、自分たちで創意工夫して遊ぶ、いわゆる「遊び心」というのを育めば、大人になってもそれぞれの仕事の分野でその力を発揮できると思うんです。
そんな子どもたちをたくさん育てたいと思いますし、私自身もずっとその気持ちを忘れずにチャレンジを続けています。

世の中のパパママたちはもちろん、大人たちの役目として、未来の主役である子どもを「私」が育てるのではなく「私たち」が育てるという感覚を持って接することができれば、社会全体が豊かになると思います。
自分の子どもだけではなく、他所の家の子どもたちもね。みんなで育てましょう。

インタビューを終えて

地域に望まれ、地域に応援され作られた『渋谷はるのおがわプレーパーク』。
そこで遊ぶ子どもたちや、休憩する大人たちを見て、その活動成果はしっかりと地域に還元されているのだなと感じました。
小水さんのお言葉にもあった通り、外遊びの大事さがもっと伝わり、このようなプレーパークが日本全国で当たり前に見られるような日がくればいいなと、しみじみ感じることができました。

こんにちは!渋谷はるのおがわプレーパークの公式HPです。はるプレは『自分の責任で遊ぶ』公園です。子どもたちが『やってみたい!』を最大限カタチにするチャンスのある遊び場です。
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